ユーザーはプロダクトの何に熱狂しているのか!? アーティストのマインドセットから学ぶ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ダ・ヴィンチ作とされる《サルバトール・ムンディ》(1500年頃) (画像:Wikipedia[Public Domain])

1位は、クリスティーズ・オークションで落札された、レオナルド・ダ・ヴィンチ作として注目された《サルバトール・ムンディ》です。実に、4.5億ドル。日本円にして約513億円。ダイヤモンドの実に6倍もの金額です。

アートは、自動車のように日常的に使うことはできず、宝石のような希少資源でもありません。おまけに原価で見れば、人件費を除くとキャンバスと絵の具、フレーム費用ぐらいしかかかっていませんが、他のプロダクトの追随を許さぬ規格外のプロダクトとなっているのです。

その理由こそ、「ユーザーを熱狂させるほどのプロダクト」なのです。

非常識な価値はなぜ生まれるのか?

ユーザーを熱狂させるほどのプロダクトとは、言い換えれば、意味的価値の占める割合が多いプロダクトです。

意味的価値とは、顧客がプロダクトに対して感じる感情的な価値や社会的・文化的な価値など主観的な意味づけをすることで生まれる価値です。さらに顧客は、製品が持つ深い意味や背景に基づく価値を知ることでプロダクトに夢中になり、ひいては熱狂します。

意味的価値は、顧客がそのプロダクトに対してどれだけ高い支払い意欲(WTP)を持つかに大きな影響を与えます。

たとえばアップルのiPhoneは、高機能なスマートフォンとしての機能的価値だけでなく、デザインやブランドに対する愛着、社会的なステータスなど意味的価値が顧客に強い魅力を与え、結果として顧客はiPhoneに対して高いWTPを持ち、価格が高くても購入を決断します。

アートに至っては、機能的価値はほぼ存在せず、作品が持つ感情的な影響、アーティストの情熱、社会的・文化的な背景などの意味的価値のみが顧客に感動を与え、どの動産よりも高い価値がついています。

次ページカンディンスキーが説いたアートの本質
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事