アフリカのスラムを変える小さな日本企業 スラム出身の若者と二人三脚!

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今や、パトリックさんは「ビジネス・ディベロップメント・マネジャー」として活躍している。

一方の澤田さんは27歳。日本の大企業なら、まだ見習い扱いを受けているかもしれないが、ここ、ケニアでは新規事業開拓の最前線で意思決定し指揮を取る。

創業のきっかけ

アフリカスキャンを共同で創業したのは、もともとP&Gでマーケティングを手掛けていた福吉潤社長だ。当初は日系企業の進出支援を行っていた。ところが、ネット調査や聞き取り調査では、誰がどこで何を買っているか、という購買データを得られなかった。「ならば、自前でやってしまおう」と考えて、ブルースプーンキオスクと名付けた小規模小売店を始めた。アイデアを出したのは、澤田さん、協力したのはパトリックさん。手探りで立ち上げた小売店事業だった。

「パトリックがいたからできた。彼の顔の効くコミュニティでスムーズに始められました」と澤田さんは言う。それが、冒頭、KCCスラムにあるキオスクだ。

ブルースプーンキオスクでは、アフリカで主食となる「ウガリ」の材料になるトウモロコシの粉や小麦粉、砂糖、米、油、ミルク、お茶や石鹸など生活必需品を対面で販売する。ナイバシャ近郊に4店舗を展開しており、客層は低所得者に絞り込む。

「日本のコンビニのように、お客様がふだん必要とする商品はできるだけ取り揃えています」と澤田さん。以前は売れ筋商品のみ50品目程度に絞ったが、取扱商品が豊富な店舗のほうが顧客からは支持された。商品数を増やしたことで売り上げが伸び始めた。

顧客が、何を買い、何を買わないか。買ったらどのように使うか、きめ細かく調べ、店舗にあるipadにデータを蓄積している。顧客データは各店舗で200人分、4店舗で800人分溜まっている。「キオスク運営はPOSデータを集めるために始めたものですが、意外なことに初年度から利益が出ました」(澤田さん)。

もっとも繁盛している店では1店当たり約700万円を売り上げ、主要製品は4店舗分、卸を通さずメーカーから直接仕入れることで、約1割、コストを抑えられる。社会貢献ではなく、それ単体で採算に乗せる前提でビジネスモデルを考えている。

例えば、紙オムツはパックではなく、1枚で売る。「ふだんは布オムツを使っている人たちが、外出などでどうしても必要な時に使うのです」(澤田さん)。低所得層ではあるが、働いて収入はあるから、最低限の支出はする。地方都市の近郊では、スーパーに出かけるのに時間がかかるから、徒歩圏に必需品を売る店があれば利用するはず、という読みが当たった。

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