子どもを産めば、求めてきた「普通」になれるかもしれない……。自分を取り戻せたのは、エゴのために産みたいと思っていることを、ある若い女性から指摘されたからだった。
やがて、子どもを欲しくない女性は自分だけではない、と知った。孤立する当事者に「あなただけじゃない」と伝えたかった、と炎上覚悟で本を刊行。目的は「産む人」「産まない人」「産めない人」が共存できる社会を目指すことだった。
「産まないのは、私だけと思っていた」
反響で多かったのは、「産まない選択を発信してくださってありがとうございました」という声で、「産まないのは、私だけと思っていた」「私だけと思って孤独だったから、命が救われた」と、若林さんが届けたかった人たちからの切実な声も多い。
「20代の頃、結婚し子どもを産む相手探しの合コンに連れ回されていた友人が、30歳の頃に自分は子どもが欲しくない、結婚したくないと気づいたそうです。彼女自身はフリーランスのバリキャリなんですが、祖母も母も働いたことがない。実家に帰ると、祖母に『働かせるんじゃなかった』と泣かれ、祖母が亡くなった後も母親から同じことを言われるそうです」
その友人が「なぜ」、と言われた際に返すのが「結婚したいけど相手がいない」だという。また、周りが納得するという理由で「今の社会がよくないから」と街頭インタビューで答える女性をテレビで見たこともある。
子どもを産んだ女性は「なぜ産んだの?」と問われることがほとんどないのに、産んでいない女性は「なぜ?」と問われる。くり返される質問に、どのように対応したらよいのか。
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