東大卒エリートが「60歳で落語家に転身」した結果 自ら「ベンチャー落語家」と名乗る納得の理由

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落語に専念後、縁を大切にすることで、順調に口演数を増やしてきたが、コロナ禍で口演数が半減した。しかし、持ち前の前向きさでオンライン寄席に挑戦。ギニアやメキシコなどの海外駐在員向けに落語を披露した。

63歳でガンを患ったときも、病室からオンライン配信を実施。術後約40日で高座に復帰し、病をも笑いに変えた。

「この3年間、好きな落語に思い切ってチャレンジできたという思いがあったので、落ち込むことはなかったです。もし、会社員だったら『定年後に好きなことをやろうと思っていたのに』と悔いが残ったかもしれません」

(撮影:尾形文繁)

レールを外れるからこそ見える景色

会社を辞め、落語に専念し始めてしばらくしてから、元同僚たちと食事をする機会があった。大胆すぎる転身に苦労していると“期待”したのかもしれない。が、豆生田さんが思いのほか新たな人生を満喫しているのをみて、やや拍子抜けだったようだ。

「まだまだ発展途上」と語る豆生田さん。「今後は、狂言と落語の融合や料理家とコラボした『レシピ落語』もやってみたい」とアイデアは尽きない。また、初心者を対象に落語の手ほどきもしている。30代から60代まで幅広い世代が参加。落語を通じて人の輪が広がるのも楽しみの1つだ。

「目標は70歳までに通算1000回口演を達成して、横浜にぎわい座で記念口演会を開催すること。100歳までは落語家を続けたいですね」

豆生田さんは、留学や転職、落語家への転身など、変化を恐れず新しいことに挑戦することで、自分自身を進化させてきた。もちろん定年まで同じ会社で勤め上げるのも、1つの生き方だ。しかし、豆生田さんのようにレールから”外れる”ことこそ、人生後半もワクワクし続ける秘訣なのかもしれない。

松元 順子 フリーランスライター

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まつもと じゅんこ / Junko Matsumoto

企業取材・経営者インタビューを中心に活動。1975年、愛媛県松山市生まれ。伊予銀行、千葉銀行勤務を経て、2009年に編集プロダクションに転職。主に女性向けMOOKの編集アシスタント兼ライター業務を担当。その後、ベンチャー系採用メディア制作会社のライターとして、経営者インタビューを多数経験したことから“挑戦する生き方”に強く興味を持つ。Web制作会社勤務を経て、2012年6月に独立。ビジネス系媒体を中心に、雑誌、企業PR誌、Webメディアなどの取材・原稿作成に携わる。

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