「ゴキブリまみれの一軒家」6時間の壮絶清掃の中身 12トンものゴミ山に作業スタッフも悪戦苦闘

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しかし、見積もり時に想定していたゴミの量をはるかに超えるときもある。

「だいぶ奥行きが……」

キッチンで作業をしていたスタッフの1人が、1階の和室にいる二見氏を呼んだ。食器棚の裏にあって見えていなかったが、壁に「隠し扉」のようなものがあったのだ。「こんなん久しぶりに見たかもしれない」と二見氏も驚いている。

そこには人が横になって寝られるほど広い収納スペースが広がっていた。しかも、奥まで隙間なくギッチリとゴミが詰め込まれている。スチールラックなどの収納家具まであったが、そのほとんどは紙袋だった。

自治体によっては紙袋も「古紙」に分類され、燃えるゴミのように頻繁にゴミとして出せないケースもある。まとめると重くなるので長年かけてこのスペースに溜め込み、いっぱいになったところで、食器棚で蓋をしたのだろう。

ゴミ屋敷
キッチンの食器棚の後ろにあった隠し扉(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
ゴミ屋敷
中はかなり奥行きがあり、モノがぎっしり詰まっている(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

クローゼットが4畳分くらいある

「めちゃめちゃ広いです、これ。衣装部屋くらいある」

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今度は2階の洋室で作業をしていたスタッフが二見氏を呼んだ。ただのクローゼットだと思っていた扉を開けると、そこは4畳分ほどの広さがあった。もはや衣装部屋くらいの広さで、奥には窓までついている。中は着なくなった服がキチキチに詰められていた。

ゴミ屋敷
巨大なクローゼットの中にも服やモノがぎっしりだ(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

現場に来た2トントラックは全部で6台。計12トンものゴミを搬出したことになる。思った以上にゴミの量が多い現場だったが、6時間に及ぶ作業の末にようやく家の中が空になった。しばらくして到着した女性と妹に中を確認してもらう。

「ありがとうございます。こんなに広かったんやねぇ」

最後まで口数の少ない女性だったが、これで、姉妹揃って新しい生活を心置きなく送ることができそうだ。

ゴミ屋敷
クローゼットの中も片付け、部屋の中が空っぽになった2階の洋室(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
ゴミ屋敷
最もモノが多かった2階の和室もすっかり綺麗に(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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