一方、キッチンはひどく荒れていた。食器棚にはホコリの被った食器が敷き詰められていて、下の棚には使いかけの調味料類が溜まっている。戸を開けると隅でゴキブリが走り回っていた。放置されているゴミは不用品というよりも「プラスチック製容器包装(プラ容器)」といった生活ゴミの類いが多い。
生ゴミも放置されたままで、冷蔵庫の中にある食材はかなり腐敗が進行していた。「とにかくゴキブリの量が多かったです」と、現場で作業にあたった「イーブイ」代表の二見文直氏(以下、二見氏)は話すが、その要因はキッチンにあった。
「それと、ダンボールが多いのも原因です。ダンボールの隙間は暖かいのでゴキブリが棲み着きやすいんですよ。ゴキブリを死滅させるには、冬場に家中の窓を全開にしておくのが一番いい。一定の気温以下だと卵が孵化しないので」(二見氏、以下同)
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「ゴミ屋敷退去」を決意した理由
2階の洋室にはシングルベッドが1台置いてあるが、長らく使っていた様子がない。というのも、部屋全体が物置のようになっているからだ。空いたスペースにはカーペット、脚立、家具が入っていた空のダンボール箱など、不用品が所狭しと並べられている。
もっともモノの量が多いのは2階の和室だ。部屋全体に胸の高さまで不用品が押し込まれていて、1歩も中に入ることができない。上のほうは大きめの家具が多いように見えたが、運び出していくと下のほうには書類が入ったダンボールに紙袋、服など重量のあるゴミがたくさん出てきた。
はじめに作業スペースを確保するため、床に散乱しているゴミを運び出していく。2階も同様に作業を進めていくが、階段にも書類、チラシといった紙類のゴミがあるので、まずは動線を確保していく。
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