清掃工場が火災!軽はずみなごみ出しが招く危機 埼玉県川口市 復旧にかかる費用と労力は膨大

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以下は、朝日環境センター内にあるリサイクルプラザで手にしたビラである。1行目に「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」と書かれており筆者はこれに大きな違和感を覚えた。

ビラ
川口市はなぜ謝るのか? 被害者ではないのか? (出典:©️川口市資源循環課)

今回の朝日環境センターの火災でごみ収集に影響が生じたことを、川口市は謝るべきなのであろうか。むしろ川口市は「被害者」であり、住民に対してのメッセージとしては、「しっかりと分別しないと、皆さんが損をする」と言っていいと考える。

「きちんと分別してもらうしかない」

最後に、懇意にしている東京23区の清掃職員の友人よりコメントをいただいた。この場で共有しておきたい。

「毎日私たちはごみ収集をしているので、可燃ごみの中にスプレー缶やライターなどが入っていても気がつきます。片付けごみや、分け方が雑なごみを収集車に積むときには、危険なごみが入っていることを疑って積みます。

実際、袋を破ってみると、スプレー缶やライターが出てきます。こうして積み込みの段階で取り除くことができれば、ごみ収集車の火災を未然に防ぐことができます。これは清掃工場の火災防止にもつながります。

しかし、近年モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池の普及により、これまでの経験則が通用しなくなっています。リチウムイオン電池が内蔵された商品が多様化し、外見だけで電池が内蔵されているかどうか判別できなくなりました。

火災をなくすにはごみを出す人が自治体のルールに従ってきちんと分けてもらうしかないのです」

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参考文献:都政新報社 2025年1月25日記事 「川口市の可燃ごみ受け入れ 清掃工場の火災・稼働停止で」/朝日新聞社 2025年1月30日記事 「川口のごみ施設、再稼働12月ごろ 市が見通し示す」/埼玉新聞社 2025年1月30日記事 「埼玉・川口の環境センター火災、緊急修繕費と他自治体など処理委託費が14億円以上に」

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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