こうして近隣の自治体へのごみ焼却の委託によりごみ収集が再開されたが、委託費が発生する。自治体の清掃工場での焼却費用が1トンあたり2万~4万円、民間業者での焼却の費用は同5万2700円となっている。川口市は3月末までの委託費を約7億6000万円と見込んでいる。
当然ながらこれに加え、清掃工場まで運ぶ輸送用車両の手配費用、燃料等の運送費、人件費などが加わる。一方で、クレーンの緊急修繕費は6億6000万円と見込む。
川口市は委託費と修繕費の約14億円を市長の専決処分で本年度の補正予算に計上した。今後の大規模なクレーンの補修費は新年度の補正予算として措置する予定である。
朝日環境センターは現在でもごみピットの中に入れない状況で、復旧は数カ月かかる状況である。クレーンの補修を終え再稼働できるのが12月頃と見込むため、委託費を含む復旧関連費用はさらに膨らみ、合計50億円規模にまでなると見込む。
軽はずみな排出で生じる膨大な損失
今回の川口市の清掃工場の火災の原因は特定されてはいないが、分別をせずに排出した発火物のためであると考えられる。近年清掃工場でのボヤや火災、清掃車の火災等が数多く発生しているが、軽はずみな排出が膨大な損失を生むと私たちはしっかりと理解しておくべきである。
また、復旧に向けて尽力している工場関係者の方々、近隣の自治体にごみ焼却の手配や運搬を依頼している事務職員の方々にも追加の労力が発生している。当然ながらそれに見合った人件費も発生している。
住民福祉の向上のために使えていた原資を本来なら支出の必要のない修理費用等に充てざるをえず、これでは私たちが受ける公共サービスの質は向上しない。
なぜ分別するのか? なぜ決められたルールに従って排出するのか? それは漠然とした「環境のため」ではない。「円滑に中間処理を行うため」であり、「最終処分場を延命化させるため」である。このことを私たちはしっかりと理解しておくべきである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら