アップルやNVIDIAがトランプに擦り寄らない事情 擦り寄る企業のビジネスモデルとの違いは何か

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トランプ政権を含め、アメリカ政府は今のところ、ヨーロッパや日本のようなアプリ代替流通経路の設置を法制化して押し付けるようなことは行なっておらず、アップルとしてもできればこの状態を維持したいところだろう。しかし、だからといってアップルは会社としてトランプ政権に寄付をするようなことはせず距離を保っている。

トランプの要望には臨機応変に対応

第1期トランプ政権は、アップルにアメリカでの雇用を増やすようにアップル製品の製造を国内で行うことを要求した。これに対しても同社はMacの一部モデル(Mac Pro)の製造の一部をアメリカで行う形で対応している。

例え相手が異例ずくめのトランプ大統領であっても、会社としては距離を保ち、何か要求があっても正当な主張を返し、状況に応じて必要な対応を行う。それだけだ。

プライバシー規制によって収益が大きく左右されるという背景を持ち、露骨な政権寄りの姿勢を取る「テック・オリガルヒ」たちの会社と比較するとその差が際立つ。

時価総額トップ企業が本質を見失うことなく、政権と適切な距離を保ち続けている事実は、テクノロジー産業の未来に1つの希望を示している。それは、短期的な利益や規制緩和への期待に基づく「我田引水」的な姿勢ではなく、長期的な視点に立った独立性の維持こそが、結果として企業価値を高める道筋となることを示してほしいと思う。

(敬称略)

林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント

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はやし のぶゆき / Nobuyuki Hayashi

1967年、東京都出身。フリーのジャーナリスト、コンサルタント。仕事の「感」と「勘」を磨くカタヤブル学校の副校長。ビジネスブレークスルー大学講師。ジェームズダイソン財団理事。グッドデザイン賞審査員。「iPhoneショック」など著書多数。日経産業新聞「スマートタイム」、ベネッセ総合教育研究所「SHIFT」など連載も多数。1990年頃からデジタルテクノロジーの最前線を取材し解説。技術ではなく生活者主導の未来のあり方について講演や企業でコンサルティングも行なっている。

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