アップルが過去5年で90億ドルの不正アプリや取引を却下。手作業審査で築いた安全な流通環境とは

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アップル
アップルはApp Storeを通したアプリの流通にも力を入れるが、それ以上にiPhone利用者の体験を損なわないように不正なアプリや取引の監視や取り下げにも力を入れている(画像:アップル)
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90億ドル(約1兆3500億円)、これが何の数字かおわかりだろうか。日本の国家予算の約1.2%、建設費350億円の東京ドームが38個建てられる金額だ。

実はこれ、アップルの売り上げになりかけたものの、同社が受け取りを拒否した金額だ。もう少し細かくいうと、同社がiPhoneなどApple製品のユーザーを不正な取引から保護するために過去5年間で却下してきたアプリ販売やアプリ取引、Apple Payの金額の合計だ。

このうちApple Payに関する不正は20億ドルなので、内訳のほとんどはアプリに関するものだ。

欧州を除くほとんどの地域ではiPhoneのアプリはアップルのApp Storeのみを通して流通している。App Storeは世界175の地域で利用され、週に平均8億1300万人超が訪問・利用している。それだけにここを狙って悪質なアプリを流通させようとする人も多い。

アップルが公開した資料によると、2024年の1年だけでも777万本以上のアプリがApp Storeに提出された。驚くことにアップルは、これらを一本一本人間の手作業で審査している。

あえて手作業というイノベーション

App Store
2008年iPhone日本上陸と共にスタートしたApp Storeは、その後、世界中にアプリ長者を生み出した。一時はオナラの音が出るだけのアプリを作っても数日間で数億円の売り上げになったと話題になった。LINEもInstagramもTikTokもなかったと考えると、同市場が世界にどれだけ大きな影響を与えたかがよくわかる。写真は2009年のサンフランシスコのアップル直営店(筆者撮影)
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