アップルやNVIDIAがトランプに擦り寄らない事情 擦り寄る企業のビジネスモデルとの違いは何か
この状況を特に強く警戒しているのは欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens/EFA)だ。就任式の翌日に開かれたデジタルサービスへの規制を行うデジタルサービス法(DSA)についての議論の場で、DSA交渉担当のキム・ファン・スパーレンタークは「真に自由なインターネットとは、一握りのテックオリガルヒではなく、市民がルールを決める場所です」と強い言葉で指摘。
「TikTokやXにおける前例のない外国からの影響」や「FacebookやInstagramを女性やクィアに対する憎悪の場として推進している」といった具体的な問題を挙げ、トランプ政権下の規制緩和が民主主義をさらなる危機に陥れる可能性があると声明を出して警告した。
政権と距離を保つ時価総額トップ3企業
ここで注目したいのが、すべてのテクノロジー企業が同じような立場を取っているわけではないという事実だ。特に注目すべきは、現在の時価総額トップ3企業――NVIDIA、アップル、マイクロソフト――の対照的な姿勢である。
NVIDIAのジェン・スン・フアンCEOは就任式当日、出生地である台湾で社員たちと旧正月を過ごしてトランプ政権との距離を保った。
アップルのティム・クックCEOは就任式に出席したものの、テック・オリガルヒたちからは離れた場所に座っていた(席としては中央寄りのいい席だが、他の4人より1列後ろで隣にはグーグル共同創業者のセルゲイ・ブリンが座っていた)。人に挨拶をしている時以外は終始、無表情で政権とは精神的にも一定の距離をとっていることがうかがえた。
他方、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、就任式で姿が確認されておらず、その日、何をしていたかの情報もない。
政権への対応の違いは、寄付金の出所にも表れている。マイクロソフトのナデラはほかのテック・オリガルヒ同様、会社として100万ドルの寄付を行う一方、アップルのクックは個人からの寄付という形を選択した。これは明らかに、アップル社として政権との一定の距離を保つための判断だ。
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