アップルやNVIDIAがトランプに擦り寄らない事情 擦り寄る企業のビジネスモデルとの違いは何か

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アップルの創業者の1人、スティーブ・ジョブズはベトナム戦争や冷戦を通じて政府への不信感が高まる時代をヒッピーとして過ごしていたことが知られている。

この時代、彼の教祖的存在だったスチュアート・ブランドをはじめとする対抗文化(カウンターカルチャー)の担い手たちは、政府や体制といった大きな力に対抗するための道具としてパーソナルな、つまり個人のためのコンピューターを生み出した背景がある。もともとは、パソコンは個人の能力拡張と保護をするための道具として誕生した背景がある。

それを広めるのが1970年代のIT企業。これに対して乱暴に言えば、すでにパソコンとインターネットが普及した後、その利用者を「便利」で惹きつけて広告で儲けようとしてきたのが1990年代後半以降のインターネットのビジネスだ。

アプリの審査プロセスにも違い

この違いは徹底してユーザーの体験に責任を持つか、それともコストを下げ量で勝負するかという姿勢の違いにも表れている。

これはアプリ掲載の審査にも見て取れる。多くのインターネットビジネスが収益源としているネット広告やECサイトの販売商品などの審査を半自動化し、その結果として詐欺広告や詐欺まがいの商品が問題となっている。

これに対してアップルは、年間数百万本のアプリを驚くことに人手で審査している。2020年には、隠し機能のあるアプリ4万8000本、スパムや他製品の模倣による15万本、プライバシーを脅かす可能性のあるアプリ21万5000本の掲載を見送った。より多くのアプリを掲載すればその分、収益は増えるにもかかわらず、ユーザーの安全性とプライバシーを優先する判断を続けているのだ。

そんなアップルも政府からの規制圧力と無縁ではない。App StoreがiPhoneへのアプリ供給を独占していることに関して批判があがり、EUと日本ではすでに他社によるアプリ流通が法制化されている。

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