日曜劇場「御上先生」が近年一番の傑作になる予兆 衝撃的だった初回を経て、今後注目すべきポイント
主人公は「御上」と書いて「ミカミ」と読む。生徒たちはさっそく「オカミ先生」とからかいを込めて呼びはじめる。官僚だから「オカミ」でこれほどぴったりの名前もない。第1回にして、官僚の「オカミ先生」は印象に残る。
つまり、学園を舞台にしながら、「官僚」の世界の闇を描くようなのだ。従来の学園もののような、ダメな生徒たちを教師が導くようなパターンではないし、『ドラゴン桜』のようないわゆる受験戦争を勝ち抜くノウハウものでもない。
御上は生徒たちに、ほんとうのエリートとは何かを問い、このままなら「上級国民予備軍」でしかないと挑発するのだ。御上先生は、若者たちを真のエリート――神に選ばれた者にすべくこの学校にやって来た。これが第3のポイントである。この第3のポイントが最重要ポイントかと思う。
「闇」とはそんなものじゃない
ちなみに、「ミカミ」の「カミ」と神も重なって、「エリート=神に選ばれた」の説得力が増す。御上先生はこの世を救うために神に遣わされた者なのか――。
いまの日本では、国を統べるエリート官僚たちが、神に選ばれたとは思えない惨憺たる言動を繰り広げている。本来なら、それを見張り、批判するはずのメディアが機能せず、記者たちは単なる御用記者に成り下がっている状況を御上は憂う。
御上が担任することになった生徒の1人で、学園の報道部長・神崎拓斗(奥平大兼)は、かつて教師の不倫を暴いたこともあり、正義感にあふれている。今回も御上が不正の天下りの仲介に関与していたため左遷させられたという醜聞を調べあげ、記事を書いて学校中に配る。
もともと、御上にいい印象を持っていなかった生徒たちは、たちまちざわつく。そして、ここからが第1回における白眉の場面であった。
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