戦国最強「武田信玄」天下取れなかった地理的要因 地理的視点でみると、ある事情が浮かび上がる
日本史と地理は、別々の科目として学びますが、多くの接点があります。『日本史と地理は同時に学べ!』を上梓した駿台予備校地理科講師の宇野仙氏が、戦国最強の騎馬隊をもつ武田信玄が天下統一できなかった謎を、地理的視点から考えます。
最強の戦国武将を考えると…
「戦国最強の武将は誰なのか?」
この問いは、日本史で戦国時代を学んだことがある人なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
この問いに対しては、上杉謙信や武田信玄の名前を挙げる人が多いと思います。
武田信玄は、甲斐の国・現在の山梨県の戦国大名です。「甲斐の虎」と呼ばれ、信玄が率いる武田の騎馬隊は、戦国時代において最強だと言われていました。
しかし、天下を取ることができず、最終的には豊臣秀吉が天下統一を果たします。なぜ、軍事的には強かったにもかかわらず、武田信玄は天下統一を果たせなかったのでしょうか?
もちろん、さまざまな要因が複雑に絡み合った結果ではあると思いますが、実は、地理的な視点で見ると1つの重要な事実が浮かび上がります。
それは、「土地の問題」です。
甲斐の国には多くの山があり、水田や畑作に適した土地が少なく、水害も多い地域です。そのうえ、内陸にあって海に面しておらず、港での交易も困難でした。
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