「ここでもあまりデジタル投資が出てこないじゃないか」と思われるかもしれませんが、そのとおりです。
デジタル投資をするだけで(数値の改善の)効果が出るわけではないのです。
肝となるのは「投資」と「成果」の堅い因果関係
さて、ここで冒頭で紹介した社宅用の不動産投資の話に戻りましょう。
この投資は「①社宅完備→②優秀な人の応募数の増加・優秀な人の採用増加→③1人当たりの生産量の増大や、請求する単価の向上→④売上増」を狙ったものだと思います。
このシナリオが間違っているというわけではありませんが、(投資家などが)気にするのは因果関係の成立の確度というものです。
たとえば、②を実現するために、(①の社宅完備よりも)もっと効く施策、たとえば高給や働き方改善といったものがあるのではないのか、ということなのです。
先ほど運転資本の圧縮として、在庫最適化という打ち手をあげました。
この場合でも「SCMシステムを刷新して安全在庫水準を下げよう」ではなくて、「在庫水準を下げる」という打ち手を定義して、そのなかで必要となるサプライチェーンのあり方を練り、そこで必要ならばSCMシステムなどの構築・導入に投資するという因果関係が必要なわけです。
まとめると、「PBR改善のための打ち手の実現手段」としてデジタル投資が必要になる(こともある)というわけです。
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