
東京証券取引所は上場企業の数を追わずに、質を高める「量から質へ」の市場改革を本格化させている。これまでに東証が打ち出した一連の施策で特にインパクトが大きかったのが、2023年3月に「資本コストや株価を意識した経営」を呼びかけ、「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」の企業に是正を求めたことだ。
株価がPBR1倍割れ、すなわち時価総額が純資産を下回っている企業は、株式市場が「会社を解散し、資産を株主に分配したほうが合理的だ」という評価を下している低評価企業である。
『会社四季報プロ500』は国内で上場している約3900社の中から、株価や業績面で有望だと考えられる500銘柄を厳選して掲載している。実は、その中には上記のPBR1倍割れ企業も多く含まれている。PBRが低くとも、業績や財務内容が良く、株価的にも上値余地が大きい銘柄が少なくないからだ。
また、東証からの是正要求が効いて、PBR1倍割れの状況を解消すべく株主還元の大幅な強化を打ち出す企業が相次ぎ、そうした銘柄は見直し買いで株価が上昇するケースも出ている。
そこで今回は、3月19日に発売となった『会社四季報プロ500』2025年春号に掲載した500社を対象として、PBRが低い企業をランキングでまとめた。
ゼビオHDのPBRは0.41倍
最もPBRが低かったのは、スポーツ用品販売大手のゼビオホールディングスで0.41倍。総合店のゼビオ、ヴィクトリアを始め、ゴルフやアウトドアの専門店などを幅広く展開している。
足元は競技系スポーツ用品やシューズ類の販売が好調。寒波で冬物衣料も前年より動いて値下げ在庫処分が減り、今2025年3月期の営業利益は64億円(前期比52%増)と会社計画を超過する見通し。来2026年3月期についてもスポーツ用品の好調が続き、堅調な業績が続く見込みだ。
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