出現率が2.5%というのは、上司に説得して、その人がわかってくれる確率が2.5%ということですから、確率のゲームとして、周りが理解してくれることを望んでいること自体が論理的におかしいわけです。
新しいコンセプトであるほど周りに理解されないのが当たり前なので、味方を増やそうと思ったら、自分がやりたいことを知ってくれている人の母集団を増やすしかありません。
眼の前の上司やその上の上司が理解してくれるというのは、2.5%しか採用してくれないわけですから、味方になってくれる人を2、3人見つけようと思うと、少なくとも100人に話さないといけないということになります。
100人に知らせるためには、のろしを上げないと無理で、本を出すなり、ホワイトペーパーを書くなりして、自分のやりたいことをぶち上げるほうがいいと思います。
いかに成長の兆しをとらえて動くか
――上司が“社内の芽”を摘んでしまう可能性もあるわけですが、そうならないようにするために企業のトップやマネジメントができることはありますか。
1つ面白い事例をご紹介します。これは、総務省が公表しているインターネットの普及率のグラフです。これもライフサイクルカーブで説明することができます。
1996年のインターネットの普及率は3.3%ですが、その時点で市場に参入したのがイノベーターである孫正義さん。そして、1997年にスタートしたのが楽天の三木谷浩史さんです。その年で6.4%。
1998年に市場に参入したのがサイバーエージェントの藤田晋さんとDeNAの南場智子さんで、このときは11%。イノベーターとアーリーアダプターを足すと16%以上になり、キャズムを超えたのは1999年ということになります。
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大企業が本格的にインターネット市場に参入したのは2001年から2002年にかけてですが、その時点では、さすがに60〜70%の普及率になっていました。2003年には、もはや成長市場でもなんでもない、普通のマーケットになっています。
ですから、いかに、成長の兆しをとらえて動くかが重要で、当たり前の話ですが「リスクをとれ」ということです。
60%、70%普及して、誰が見ても「これが来るな」と思える状況になったときは、すでにレッドオーシャンになってしまっているわけですから、サーフィンと同じで、「あの波、いいぞ!」となってから漕ぎ始めても、波には乗れないということです。
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