――日本はインターネットの領域でも、サステナビリティの領域でも出遅れてしまいました。これから日本は変わることができると思われますか。
ウィリアム・ブリッジズという心理学者が「トランジション(転機)」は終わった先にしかやってこないと言っています。
例えば、パートナーが亡くなったとか、やりがいのある仕事をやめたとか、解雇されたとか。そのような転機を乗り越えられる人の特徴は「終わらせられていること」であり、逆に、うまく転機を乗り越えられない人の特徴は「終わらせられていないこと」だとブリッジズは発見しました。
今はダメでも、いつかまたアレ(過去の栄光)が訪れるんじゃないかと思っている人は、ずっと転機を乗り越えられないままでいる。日本は、まさに転機の最中にあると思います。
「経済大国である」「世界で最も尊敬される国の1つである」という日本の栄光を、50代以上の人はよく知っていると思いますし、60代、70代の人は、世界から「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていたときに人生の夏を経験しているので、1人あたりのGDPで、中国に抜かれ、ドイツに抜かれ、イタリアに抜かれても、まだ「成長している」と思われているかもしれません。
しかし、もう日本は「登山社会ではなく、高原社会なんだ」という考え方もできるように思います。ただ、これも時間の問題ですね。ミレニアル世代やZ世代が中心の社会になると、自然と価値観が変わっていくと思います。
今は「一億総マイルドヤンキー化って言われるけど、ゆったり衰退していけばいいじゃん」「美味しいドリアが安く食べられればいいじゃん」という人が統計的に多いかもしれませんが、若い人たちの間で日本初のクリティカル・ビジネスをやりたいという人も生まれているのは確かで、二極化が進んでいるかもしれませんね。
「もしかしたら大化けする仕事」をつくる
――これから新しい挑戦を始めたいと思っている人にアドバイスをいただくことはできますでしょうか。
お伝えしたいのは、「皆さんは、毎日会社に行っていて楽しいですか? もし楽しくないと思われているのなら、後で必ず後悔することになります」ということです。
1度きりの人生ですから、絶対にこれをやりたいということがやれてないとすると、「本当にその仕事を続けるのか?」ということを自問したほうがよいと思います。
やり方はいろいろありますが、今すぐ転職はできないし、クリティカル・ビジネスはすぐにお金にならないということであれば、私がお勧めしたいのは、今いる会社をしゃぶり尽くしながら、クリティカル・ビジネスをどうやったら立ち上げられるかを考えるということです。
言い換えれば、兼業とか副業、別の言い方をすると、「イニシアチブ・ポートフォリオ」をつくったほうがいいと思います。
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