指導者が言い訳してはダメ 長崎県サッカー協会会長・小嶺忠敏氏②

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こみね・ただとし 1945年生まれ。島原商業高校、国見高校で教員・サッカー部監督を務め、全国高校サッカー選手権大会の6回を含む全国大会17回優勝。高木琢也、大久保嘉人など多くの代表選手を育成。現長崎総合科学大学教授、長崎県サッカー協会会長など。

地方だから、公立だから不利だったのではないか、とよく言われる。確かに若干は不利なことはあるかもしれないが、指導者が逃げる言い訳にしていてはダメだ。

1977年の高校総体では優勝したが、高校サッカーで最大の目標である高校選手権では優勝できなかった。当時、長崎の田舎だから仕方がないという気持ちが心のどこかにあったのかもしれない。そんな甘えを痛感させられる出来事があった。

79年の選手権で北海道の室蘭大谷高校が準優勝したのだ。準優勝の祝賀会に室蘭へ行ったら、ゴールポストが隠れるほどの雪。室蘭大谷の高橋正弘監督(故人)には「小嶺よ。おまえのところはええなぁ。雪が積もらず年中練習ができるんだから」と言われた。「室蘭でできてなぜ俺のところでできない。俺のところのほうが何倍も恵まれているのに。俺は言い訳をしていたんだ」と思い知らされた。

結局はプラス思考になるかどうか

公立だから強いチームを作ることができないということもない。公立高校は校長が2年から3年で代わるが、面白いもので理解のある校長と頭の固い校長がだいたい交互に赴任してくる。だから、理解のある校長の時代に、バスでの遠征はダメだったものを、月に3回まではOKといった具合に少しずつ前例を作るようにしていった。

校長が代わって頭の固い校長になっても、今までやっていたことは認められるものだ。ただし、新しいことをやりにくいのは仕方がない。サッカーと同じで、じっと我慢してチャンスを待つ。次に、また理解ある校長が来たら、遠征は月10回まで、その次は制限なしとできることを増やしていった。

今は私立で監督をしているが、私立にも難しいところがある。私立だと理事長や校長は10年くらい代わらない。理解がある理事長や校長ならいいが、理解がないと大変だ。

僕は38年間公立高校にいた。最後の6年間は校長だったが、そのときも実質監督だった。これも前例がないので、校長が監督をやっていいのか、と批判もされた。でも、校長が監督をやってはいけないというルールはないわけです。校長でも監督はできる。私は総監督と名乗って、校長と現場の間に入る人物を顧問や監督に置いた。現場は監督やコーチに任せつつ、必要に応じて総監督の私が指示を出していった。

本当にやろうと思ったら、地方の高校でも、公立高校でもいろいろなことができる。結局はプラス思考になるかどうかだと思う。

週刊東洋経済編集部
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