靴下屋「"キレ気味"投稿で炎上」から得られた学び 過去には同アカウントの投稿が称賛されていたが…
では、こうした問題が起きたときに、どのような対応をすればよいのだろうか?
消費者からのSNS上のクレームにうまく対応を行って、賞賛を浴びた事例を紹介したい。味の素冷凍食品の「フライパンチャレンジ」という取り組みだ。
2023年5月、Twitter(現Xに)同社の冷凍餃子がフライパンに張り付いている写真が、「油いらないって!!書いてたじゃん!!!嘘つき!!!」というコメントととともに投稿された。
この投稿を見た味の素冷凍食品の担当者は、投稿者に「フライパンを着払いにてご提供いただけないでしょうか? 焦げ付いてしまうフライパンの状態を確認させていただき、研究・開発に活用させていただきたく考えております。」と依頼した。
やり取り自体も誠実な対応として称賛されたが、これにとどまらず、翌月には冷凍餃子が張り付くフライパンの提供を呼び掛けた。最終的には、3520個ものフライパンが集まった。「冷凍餃子フライパンチャレンジ」という専用サイトを立ち上げ、3Dスキャンしたフライパンの画像をアップ。さらに、noteを立ち上げて検証の経過報告まで行っている。
この取り組みは、消費者から称賛を浴びたことに加え、国内外のアワードを多数受賞するに至っている。
不当なクレームに眠る「ビジネスのヒント」
さすがに、ここまで徹底的に対応するのは難しいとは思うのだが、顧客のクレームを「不当だ」「わがままだ」と切り捨てるのではなく、顧客と真摯に向き合うことは重要なことだ。
靴下屋の投稿にしても、靴下で行っている耐久性強化の取り組みを伝えつつ、ストッキングでその技術が応用できない理由を感情的にならず、丁寧に説明していれば、炎上も避けられたし、企業としての取り組みを効果的に伝えることもできたのではないだろうか。
今年10月には東京都で全国初のカスハラ防止条例が成立、もはや「お客様は神様」ではなく、従わなければならない存在でもなくなっている。ただ、一見すると不当に見える不満やクレームにも、ビジネスのヒントは眠っている。
“One man's trash is another man's treasure. (ある人にとってのゴミは、別の人にとっては宝)という英語のことわざがある。SNS上のクレームもそういう側面があることは覚えておいてもいいだろう。
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