あなたの中に眠る「使える短所」と「使えない長所」 「長所がない」と嘆く前にやるべきことがある

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そうした環境にいると、自分の「短所」だって気になりません

苦手なことはたくさんあるけど、得意なこともあるから、まあいいか」と割り切れるようになります。長所も短所もそのままに、自分を愛せるようになります。「私なんて」と卑下する必要は、どこにもないのです。

そもそも、長所も短所も、あなたの大切な個性の一部です。そして、あらゆる個性が、誰かの役に立つ長所になりえるのが、諸法無我の世界とも言えます。

ある人から、こんな話を聞いたことがあります。

「自分は、人に会わずひとりで部屋にこもっているのが苦にならない。若い頃は、社交性がないのは短所だ、直さないといけないと思って、悩んでいました」

しかし、あるとき「自分はこれでいく」と開き直ったそうで、今は本を書く仕事をされています。「原稿の締め切りに間に合わせるために、一週間以上自宅で”カンヅメ”になっていても平気」だそうです。

「そんな生活は退屈で耐えられない!」という人もたくさんいると思います。しかし、だからこそできる仕事もあるわけで、そうであるならば「ひとりでいるのが好き」なことも立派な長所と言うべきでしょう。

つまり、あなたの個性が長所として輝くかどうかは、環境で決まる部分が大きいのです。前述の「ひとりでいるのが好き」な人も、チームワークが求められる環境ではずいぶん肩身の狭い思いをするかもしれません。 

あなたの短所が誰かを光らせている

誰かと出会い、役立つ道が見えてこそ個性は長所になるのです。個性豊かなさまざまな人と出会うなかで、あなたの長所は磨かれていきます。

ですからどうか、人と交わる場所に出ていくことを、恐れないでください。あなたの長所が輝く機会は、そこにあるからです。多くの人と助け合い、支え合う関係が築けたら、もう何も心配することはありません。

それは、自分の長所のみならず、短所の使い道が見えてくるからでもあります。あなたの短所は、誰かの長所が発揮される機会をつくることでしょう。

どんなに優秀とされる人でも、全方位に優れているかというと、そんなことはありません。どんな人にも長所と短所があり、あなたにも長所と短所がある。そんな人たちのなかに、臆さず身を投じることです。

苦手なことがあれば、苦手だから助けてほしいと、声をあげましょう。それだけで心は楽になり、助けてくれる人も現れます。逆に、助けてほしいと声をあげている人がいたら、自分も迷わず手を差し伸べましょう

長所も短所も、どちらも人の役に立っている。その事実に気づけたら、もう大丈夫。こんな自分も悪くないじゃないかと、心から思えてくるのです。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事