「3人に1人が高齢者」の日本で診療所が消失の危機 潰れる病院・診療所2023年は"過去最多"を更新

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私のクリニックには、認知機能が低下していると思われる高齢者が、1人でタクシーやバスに乗って来てくれることもよくあります。知り合いの医師から「(認知機能が低下していると)診察料がちゃんと払えない場合もあるのでは?」と心配されることがありますが、いまだにそのようなことはありません。

その人のペースに合わせて、ゆっくりお金をお財布から出してもらうのを待ちます。

必要に応じて、スタッフがサポートします。難しい場合でも、ご家族に連絡をとれば、たいてい解決します。これも家族全員が当院をかかりつけ医にしてくれているおかげかもしれません。

介護申請をしていない患者さんであれば、ご家族に連絡したり、連携している地域包括ケアセンターに介護手続きを提案したりすることもあります。要介護になってもクリニックに安心して通ってもらえるように、バリアフリーのクリニックでスタッフ一同、温かく迎えます。

この取り組みだけで、多くの患者さんが笑顔になってくれるのです。

1人暮らしの高齢者が急増する

もう1つ、2024年4月12日に、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所から衝撃的な数値が発表されました。

「日本の世帯数の将来推計」というドキュメントで、これによれば、2050年には全5261万世帯の44.3%に当たる2330万世帯が1人暮らしとなり、そのうち65歳以上の高齢者が半数近くを占めることが示されたのです。しかも、1人暮らしの男性高齢者のうち、未婚者は2020年の33.7%から59.7%へ大幅に増え、女性は11.9%から30.2%に増えます。

これは現在の40〜50代という未婚率の高い世代が高齢期に入ることを示しています。

高齢者が急増するということは、怪我や不調などで医療機関にかかる人が増えるということです。1人暮らしの高齢者であれば、家族の支えなく1人で医療機関に行かなければなりません。

足腰が丈夫なうちはいいのですが、足腰が弱れば複数の病院やクリニックをバスやタクシーで行き来することになります。救急車を呼ぶ人も、今よりもっと増えるでしょう。

帝国データバンクが発表した「医療機関の『休廃業・解散』動向調査(2023年度)」によれば、2023年度の医療機関の休廃業・解散件数は、前年度比37.1%増となる709件となりました。

これまでの調査で最多だった2019年度(561件)を148件も上回り、過去最多を更新しました。

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