マスク氏ロケット打上連発「火星移住」実現するか スペースX「3つのスゴさ」をわかりやすく解説

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3点目のポイントは、「うまい」です。

スペースXのロケットは、NASAからの厚い信頼を勝ち取った技術の高さがあります。

既存のルールを疑って、根本から見直すことを徹底し、「やすさ」(コスト削減)と「はやさ」(開発スピード)を追求することで、「うまさ」(技術力)が向上しました。

そもそも、民間企業が独自にエンジンを設計、製造をして、ロケットを飛ばしていること自体が画期的なことでした。

それがいまや、「スペースシャトル」に代わる存在として、人を国際宇宙ステーションに運ぶ役割を担っています。さらには、これまで誰も実現していなかった形での、ロケットの回収・再利用を実現しています。

ちなみに、長年にわたりNASAのスペースシャトルやロケットの設計・製造に関わってきた「ボーイング」社は、宇宙船「スターライナー」をつくり、今年ようやく初めて人を乗せて国際宇宙ステーションまで行きましたが、トラブルが発生し、無人で帰還。結局、宇宙飛行士は、スペースXのドラゴンに乗って地球に帰還する予定になっています。

このような技術の差が出ることになるとは、まったく予想されていませんでした。

SFがフィクションではなくなる未来

イーロン・マスク氏の人柄や言動には、お騒がせな一面もありますが、「人類を火星に連れていく」ということに関しては本気です。

以前、スペースXが狙う「100万人火星移住」実現可能か?でお伝えした「火星移住」は、決して夢物語でなく、本当に実現してしまうのではないか、と思わせられるほどの勢いが、スペースXからは感じられます。

そこに向けた現実的で重要なステップとして、史上最大のロケット「スターシップ」の入念な試験飛行、完成、そして、アルテミス計画・第3弾での月着陸の実現が待っています。

いまや宇宙大国となった中国も、月や火星に人を送り込むことを大きな目標としています。アメリカとしては先を越されるわけにはいかないので、その歩みが止まることはないでしょう。

いまの子どもたちが大きくなるころには、「月」や「火星」はいまとはまるで異なる環境になっているのではないでしょうか。

そのカギを握るスペースXの動向からは、今後ますます目が離せません。

10月13日、5回目の試験飛行で、「スーパーヘビー」が地上に帰還し、「チョップステッィクス」にキャッチされる瞬間の様子(画像:SpaceX)
井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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