"内定辞退"を防ぐ「オヤカク」に不可欠なツール 自社の情報を「事前に提供」することが大切
採用側においても、近年の候補者フォローの基本戦略として、「本人の意思決定に大きな影響を与えている人を探り、その人が気にしているネック(不安)を解消しないと、学生は内定承諾をしてくれない」といわれています。
つまり、入社の意思決定は多くの場合、本人だけの問題ではないということです。
特に新卒採用では、「親を制するものは子を制す」ともいわれており、いまや親へのアプローチは必須ともいえます。
また、中小企業は一般的に知名度が低いため、保護者が安心して子を送り出せるように、企業の信頼性や働き方の魅力をわかりやすく伝えることが求められます。
こうした観点からも、オヤカク(親への確認)の重要性が高まっているといえるのです。
親は子のキャリア選択に保守的
オヤカクに取り組む前に、対象者である親世代が、子のキャリア選択において何を重視しているのかを理解することが大切です。
昨今では、ブラック企業に対する警戒や職場のハラスメント意識などが高まり、リベラル・フェア・ダイバーシティといった価値観が定着しています。
そのなかで、わが子にできるだけ公正かつ安心・安全な職場で働いてもらいたいと願うのが親心でしょう。
また、これは時代を問わず共通ですが、基本的に親は子に対して、本人よりも保守的です。これはもちろん、自分にとって子が大切な存在だからです。
となると、学生本人が「自らの成長が期待できるかどうか」を決め手に就職先を選んだとしても、親が「休みはきちんと取得できるか」「残業は多くないか」「給与は安定しているのか」といった点を重視している場合、親は子の選択に反対する恐れがあります。
こういった場合、学生本人に刺さるフォロートーク(当社ではどれだけ・どのように成長できるか等)に加えて、親に有効な情報提供をすることも必要となります(年間休日数、平均残業時間、報酬制度の実態等)。