「収入が増えても幸せにはならない」は誤りだった 格差是正に取り組まなければならない納得理由

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ソファに腰掛けて葉巻を吸うスーツ姿の男性
ある一定の水準に達すると、そこからはもういくら収入が増えても、より幸せになることはないという「イースターリンのパラドクス」は、誤りだったようです(写真:Lipik/PIXTA)
私たちが生きている、かつてないほど豊かなこの現代社会を可能にしたのは、経済の力だ。そして、文明の歴史は経済発展の歴史でもある。では、その経済を、経済学者たちはどのように考えてきたのか。現代の経済学者は何に取り組んでいるのだろうか。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

世界はかつてよりずっと良くなっている

読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史
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報道の内容は報道の頻度で決まると、経済学者のマックス・ローザーが指摘している。

週刊誌の視点は日刊紙の視点とは違い、日刊紙の視点はソーシャルメディアの視点とは違う。

では、もし50年に1回という頻度で発行される新聞があったとしたら、どうなるだろうか。そのような新聞では、きっともっと世の中の好ましい長期的な傾向が取り上げられやすくなるだろうと、ローザーは述べている。

50年新聞の1面を飾るのは、著名人のゴシップではなく、世界の乳児死亡率が14%から4%にまで低下したという記事や、全世界の雇用の過半数が今やサービス業で占められているという記事になるだろう。

わたしたちの祖先にとっては贅沢(ぜいたく)だったものが、科学技術のおかげで、現在ではほとんどコストを気にせず使えるぐらい安価になっている。長いスパンで見れば、経済的な発展に伴ってそういうことがほかにも数多く起こっている。

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