農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
貨幣の持つ3つの機能
多くの古代社会で生まれた発明品のひとつに、貨幣がある。貨幣は次の3つの機能を持つ。
(1)さまざまな品物の価値をいい表す「尺度」としての機能。貨幣があれば、牛2頭には斧1本の価値があるとはいわず、どちらも銀貨1枚の価値があるといえる。
(2)富を腐ったり、死んだりしない形で蓄えておける、価値の「保存」手段としての機能。
(3)「交換」の手段としての機能。貨幣を使えば、牛2頭を買いたいが、それと交換する斧を持っていないという人どうしのあいだでも、容易に商取引ができる。
貨幣はさまざまな形態で誕生した。古代ギリシャでは、前700年から前600年頃、のちにドラクマ(「ひとつかみの」の意)と呼ばれるようになる硬貨が発行された。
古代オリンピックの勝者には、オリーブの葉で編まれた冠のほかに、最高1000ドラクマの賞金が贈られたという。
ローマで貨幣が発行されるようになったのはそれより遅いが、前269年、ユーノー・モネータ神殿の近くで銀貨の鋳造が始まると、その銀貨には「モネータ」の文字が刻まれ、それが今の「マネー」の語源になった。
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