私たちが生きている、かつてないほど豊かなこの現代社会を可能にしたのは、経済の力だ。そして、文明の歴史は経済発展の歴史でもある。では、その経済を、経済学者たちはどのように考えてきたのか。現代の経済学者は何に取り組んでいるのだろうか。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
ケインズによる「蜜蜂の群れ」の例え
英国の経済学者ジョン・メイナード・ケインズは大恐慌の問題を研究し、問題が起こるのは人々が予期せぬ仕方で互いに影響し合うからだと論じた。
彼はそれを蜜蜂の群れの例で説明している。蜜蜂の群れの中に質素な生活を送ろうとするメンバーが現れたとする。質素な生活を心がけるというのは感心なことのように思える。
ところが、ある蜜蜂の消費とほかの蜜蜂の生産とは密接に結びついているので、消費しないメンバーが増えれば、群れはやがて崩壊し、その樹洞に暮らすすべての蜜蜂が苦境に追い込まれる。
こういう状況を避けるためには、政府が(理想では公共事業に)お金を出して、経済を立て直すべきだというのが、ケインズの主張だった。
これは経済学者全員の一致した考えではなかった。中でも最も舌鋒(ぜっぽう)鋭く異を唱えたのは、オーストリアの経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエクだった。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら