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経済成長率を目標とする経済政策は間違っている 成長を追求するだけでは経済は劣化する

人類を月面に着陸させて帰還させるという米航空宇宙局の任務は、さまざまな産業でイノベーションを引き起こした(写真:NASA)
ハイレベルな政策議論から政治公約、日々のニュースに至るまで、あらゆる場所で大きな関心を集めているのが経済成長だ。ドイツは2023年連邦政府予算で経済成長を最優先項目とし、インド政府は世界一の経済成長率を取り戻すと気勢を上げている。デフレの影が濃くなっている中国では、当局が「5%前後」という今年の経済成長率目標の達成に気をもんでいるのは疑いようがない。
だが、経済政策の立案の中心に経済成長を据えるのは間違いだ。経済成長は確かに重要だが、抽象的な経済成長率は一貫した目標とはならない。GDP(国内総生産)の数値目標に取り組む以前に、政府は経済の方向性に意識を集中するべきだ。高い成長率を実現するのに、労働条件を悪化させたり、温暖化の原因になっている化石燃料産業を拡大させたりするようでは、それこそ本末転倒である。
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