日本のエリート層に「武士の姓」が多いという衝撃 身分を固定化する「社会的流動性」の低さとは

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武家屋敷
武士の姓の姓を持つ人は一般よりも4倍以上高い割合で、医師、弁護士、学術書の著述家になっているそうです(写真:TAKEZO/PIXTA)
私たちが生きている、かつてないほど豊かなこの現代社会を可能にしたのは、経済の力だ。そして、文明の歴史は経済発展の歴史でもある。では、その経済を、経済学者たちはどのように考えてきたのか。現代の経済学者は何に取り組んでいるのだろうか。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

「社会的流動性」をはしごに喩えると

読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史
『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

古代中国の封建制度やインドの伝統的なカースト制度、あるいはヨーロッパ中世の封建制度のもとでは、人々の社会的な地位は生まれながらに決まっていた。

親の社会的身分が子に受け継がれたので、社会的流動性は限られたものだった。

現代の資本主義社会に暮らすわたしたちの大半は、そのような固定化された階級社会におぞましさを覚える。

今の社会では、政治信条に関係なく、社会的流動性、つまり誰でも「出世」できる状態が尊ばれている。

とはいっても現実には、親と子のあいだに社会的地位の相関がどれぐらいあるかは、国によってかなり違う。流動性が世界で最も高いのは北欧諸国であり、逆に最も低いのは南米の国々だ。

その原因は、経済的な不平等(貧富の格差)と流動性とが密接に結びついていることによる。

これははしごの喩(たとえ)で考えるとわかりやすい。はしごの段と段の差が経済的な不平等を、はしごの上り下りのしやすさが社会的流動性を表す。段と段の差が大きければ、はしごの上り下りはしにくくなる。

このような貧富の格差と流動性の相関関係を経済学では「グレート・ギャツビー曲線」と呼ぶ。南米では、北欧より経済的な不平等が大きいので、そのぶん流動性も低い。

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