[Book Review 今週のラインナップ]
・『20世紀経済史 ユートピアへの緩慢な歩み』
・『奪還 日本人難民6万人を救った男』
・『半径5メートルのフェイク論 「これ、全部フェイクです」』
・『新さかなの経済学 漁業のアポリア』
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
米国の経済史の第一人者が20世紀の世界経済を論じた大著。1870年から2010年までを成長の「長い20世紀」として描く。
ハイエク、ポランニーの思想から 成長の時代とその終わりを描く
産業革命は18世紀後半に始まったが、当初100年は恩恵が一部に集中し労働者は食うや食わずだった。1870年ごろになると、技術革新の加速によって、人類がマルサスの制約(人口は食糧生産高を上回って増加するため必然的に貧困が発生する)から抜け出す。転機となったのは、グローバル化、産業研究所、近代的企業の出現の3つだった。
欧米の大企業は新たに発明した工業製品を大量生産し、国内外で販売したのである。一方、その裏側では、新興国の製造業の空洞化が進んだ。
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