「世界恐慌で事態悪化」日本が戦争に突入したワケ 無謀な戦争へと突き進んでしまった理由とは

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(撮影:今井康一)
「戦争の原因を考えるとき、なぜ日本が第2次世界大戦に参戦したのかがわかりません。普通に考えれば負けることがわかりそうなのに……」と思う人がいるかもしれません。
「日本が参戦したのは経済事情が大きく関係しています」と述べるのは東大名誉教授で経済学者の井堀利宏氏。無謀な戦争へと日本が突き進んだ理由とはなんだったのか。2つの経済的視点から解説していただきました。
※本記事は、書籍『超速・経済学の授業』から一部抜粋・大幅加筆したものです。

日本がアメリカに戦争を仕掛けた経済的理由は?

日本が1941年に第2次世界大戦に参戦した理由は当時の経済情勢と、その背景にあった財政金融政策が影響しているといわれています。具体的には、1930年代の「金本位制」と呼ばれる財政金融政策と、その影響を受けた「昭和恐慌」が大きな原因です。

第2次世界大戦に参戦した経済的背景
・金本位制……金をお金の価値の基準とする制度
・昭和恐慌……1930~1932年にかけて日本を襲った深刻な不景気

金本位制とは、通貨の価値基準を金の価値に設定するという制度です。中央銀行の発行する通貨=紙幣と一定量の金とを等しい価値の関係にして、決められた固定レートで相互の交換が自由に行われることを保証します。

ただ、上記の説明ではわかりづらいかもしれませんので、お金がなかった古代の物々交換をイメージしてみましょう(下記の図参照)。

(画像:『超速・経済学の授業』より)

その時代、村Aでは貝殻を通貨として使い、村Bでは絹を通貨として使うなど通貨が統一されていませんでした。そのため、例えばお米1㎏を買うには村Aでは貝殻10枚と交換する必要があり、村Bで絹10もんめを必要としました。

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