「世界恐慌で事態悪化」日本が戦争に突入したワケ 無謀な戦争へと突き進んでしまった理由とは

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同じモノを購入するにしても、村Aと村Bでは違うモノで交換していたわけです。これでは不便だということで誰もが認める共通の価値尺度として金を設定したのです。これが金本位制の始まりです。世界の遠い外国の場所でダイヤモンドを買っても、またシルクを買ってもみんなが認める金さえ持っていれば交換できるようにしたわけです。

ただし、金は重量があります。あらゆる経済取引のためにたくさんの金を持ち運ぶのは面倒です。その代わりに登場したのが貨幣(=紙幣)でした。金1㎏の価値がある貨幣X、金5㎏の価値がある貨幣Y、金10㎏の価値がある貨幣Zといった具合に貨幣の種類を作れば持ち運びも簡単です。 このようにして、貨幣が金の代わりとなったのが金本位制です。

金本位制の復活と想定外の事態が発生

金本位制のしくみを理解したところで、日本が戦争するきっかけとなった経済的背景を説明していきます。

1917年に日本は第一次世界大戦のために金輸出を禁じ、金本位制は機能停止していました。しかし、その後の1930年1月、日本は大蔵大臣の井上準之助が金本位制を復活させます。金本位制を復活させた目的は、国際競争力をつけるためです。

通貨と金との交換比率を保証することで、外国通貨と円の交換レートが固定されました。これは、ドルの価値尺度も金で、円の価値尺度も金だから、ドルと円の交換レートも一定になるということです。当時の多くの国が採用していた固定相場制度に戻るので、貿易がしやすくなるメリットがありました。金輸出解禁を実施することで、外国為替相場を安定させ、輸出の増大を図ることができるためです。

また、当時の日本では第一次世界大戦を経て、政府の補助金で生き残っていた企業が多数存在していました。この状況では、日本の経済が本当に強いとは言えません。多額の借金を抱えていたり、赤字が続いていたりして倒産しそうな企業を整理したいという思惑もあり、国際競争のなかに日本企業をさらしました。痛みを伴ってでも、日本経済を強くしたいと考えて金本位制を復活させたのです。

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