障害者マーケットは日本のビジネスチャンスだ 世界では18.5億人、13兆ドルの市場が眠っている
たとえば、かつては20代以下の若年層を主な顧客としていたコンビニエンスストアのメインターゲットは、50代以上にシフトしました。それに伴い、シニア向けに品揃えや陳列方法を見直し、食事配達や買い物支援のサービスを拡充する動きが目立ちます。また、結婚や子どもの誕生をきっかけに、死亡保険金が一定の期間手厚くなるタイプに加入するケースが多かった生命保険市場では、長寿を視野に入れた商品が好調なようです。
高齢者市場が注目されているのは、数だけが理由ではありません。消費に対するスタンスそのものが若い世代とは異なり、消費離れが指摘される20代、30代を尻目に、中高年の消費意欲は相変わらず旺盛です。子どもの頃に高度経済成長を体験し、若いときにバブル経済を経験した現在の50代、60代は、経済状況が仮に少々厳しくても、趣味や普段の食事、国内旅行といった、日常の延長線上でささやかな贅沢を楽しもうとする意識が高いとされます。
どんな世代にも経済的に厳しい方はいて、そうした方々に寄り添い、支援しなければならないのは言うまでもありません。しかし、消費支出全体に占める高齢者の消費割合が、高齢化率を上回るペースで伸びているのは紛れもない事実です。
さらに言えば、高齢化は日本に限った事象ではありません。中国やインドも着実に高齢化への道を突き進んでいて、最後の人口爆発の地と呼ばれるアフリカですら、いずれは少子化が進むと予想されています。
それほど先を見通さずとも、現時点で18億5000万人の障害者が世界中で暮らしており、障害者とその家族や友人を合わせた購買力の総額は13兆ドルに達するとされています。控え目に見ても、障害者と高齢者のマーケットは世界規模の可能性を秘めています。
95%の企業はまだ取り組んでいない
マーケットの可能性を認識し、取り組み始めている企業はまだ多くありません。さまざまな人にとって使いやすいインクルーシブな製品やサービスを提供している企業の割合は、世界でもわずか5%程度とされています。裏を返せば、障害者や高齢者、そして将来そうなるかもしれない方々をターゲットとする市場は、競争相手の少ないブルーオーシャンといえます。
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