父親の時代のように、ひたすら『四当五落』(※4時間睡眠で受験勉強する者は合格し、5時間睡眠すると落第する)という言葉を信じて、睡眠時間を削って1日15時間前後の勉強に励んだことも、失敗だったと振り返ります。
予備校生活で周囲に友達もでき、1人で抱え込まずに済むようになったこともあって、勉強時間は10時間くらいに下がったものの、健康的な生活習慣と授業を受けて復習するという適切な勉強習慣を続けた彼は、偏差値を現役のときの45に戻すことに成功しました。
「この年の受験では、もう医大は無理だから建築のほうに行けと親から言われていました。そのため、建築を学べる大学を志望して受験しました」
ダメだったら専門学校に進むことを決めていた安藤さんは、東洋大学・日本大学・芝浦工業大学・工学院大学・東海大学を受験します。第1志望には届かなかったものの、この中のある大学の建築学科に合格し、受験生活を終えました。
努力は正しくしなければ意味がない
無事に合格し、「助かったと思った」と語る安藤さん。受験生活を頑張れた理由を尋ねると、「人生が終わると思っていたから」、自身が浪人を重ねた理由についての分析を聞くと、「努力の方向性を間違ったから」と答えてくれました。
「浪人を経て、『努力はもういいや』と思うようになりました。努力や根性でなんでも乗り越えるのは限界があります。自分は、過去にバカにされたことに対して、成績を伸ばすことで見返そうと思っていました。でも、成績が悪かろうが、良かろうが、等しく人間なのです。成績が悪いからといって、人格を否定される筋合いはないのだと思います。
当時の自分を振り返ってみると、馬鹿にされたのであれば、馬鹿にされたことそれ自体に、尊厳を潰されたのであれば、尊厳を潰されたことそれ自体に対して粛々と対処することができていればよかったなと思います。いまは他人を見返すことは考えません。嘲笑いなどの行為はハラスメントとして対処しています」
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