【川邊健太郎×田中邦裕】"不機嫌な上司"の弊害 「組織を腐らせる」管理職にならないためには

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川邊:不機嫌上司がもたらす弊害がこれだけ大きいのだから、企業がマネジメント職を選ぶ際の要件に「常に機嫌がいいこと」を加えるべきですよね。逆に「常に機嫌が悪い人はマネジメント職には登用しない」とルールを決めてしまうくらいでいい。

田中:それは名案ですね。早速うちでも取り入れようかな(笑)

良いリーダーシップとは、部下のやる気を引き出すこと

ーー旧ヤフーは日本企業の中でいち早く1on1を取り入れるなど、心理的安全性の高い環境づくりに力を入れてきた印象があります。川邊さんが上司と部下の対話の重要性を意識したのはいつ頃ですか。

LINEヤフー株式会社 川邊さん
(写真:桑原美樹)

川邊:30代半ばでGYAOの社長に就任した時です。当時のGYAOは累積100億円の赤字を抱え、経営の立て直しが急務でした。

私はもともと率先垂範型のリーダーで、自分が先頭に立って頑張れば部下はついてくると考えていたし、GYAOの社長になってからもしばらくはそのやり方で乗り切ろうとしました。でもこれだけ大きな赤字を自分1人の力でなんとかするのは到底無理で、社員の皆さんに頑張ってもらえるような環境を作る必要があったわけです。

そんな時、ヤフーのメディア事業部で、フォロワーシップ型マネジメントを取り入れる活動の一環として1on1を始めた人がいた。それがのちに『ヤフーの1on1』(ダイヤモンド社)の著書で知られることになる本間浩輔さんでした。

私も初めのうちは「あれって意味があるのかな?」と半信半疑で見ていたのですが、率先垂範型のリーダーシップでは限界があると気付き始めていたので、本間さんにアドバイスをもらってGYAOにも1on1を取り入れてみたんです。すると社員1人ひとりのやる気が明らかに向上し、業績も改善し始めました。

ーー上司と部下のコミュニケーションが変わるだけで、会社の経営にも直接的な影響をもたらすのですね。

川邊:本間さんはいつも「良いリーダーシップとは、部下のやる気を引き出すことである」と言っていました。1on1はまさにそのための手法で、上司が部下の話に耳を傾け、自問自答の幅を広げてあげることで、本人のやる気と能力を引き出します。

私の場合、そもそもの動機はなんとかして会社の業績を伸ばすことであり、1on1も必要に迫られて導入しました。だからリーダーやマネジャーは、まず会社が目指すビジョンと、そこに到達するために自分が果たすべきミッションを明確に意識することが大事です。その2つが自分の中ではっきりしていれば、会社や組織の成長につながる行動をとるようになるし、結果的に部下の才能を引き出す方向に変わっていくと思います。

ーーもし上司としての立ち振る舞いに迷っている読者がいるとしたら、まずは何を意識したら良いと思いますか?

さくらインターネット 田中邦裕さん
(写真:桑原美樹)
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