【川邊健太郎×田中邦裕】"不機嫌な上司"の弊害 「組織を腐らせる」管理職にならないためには
自分自身の機嫌をとることが重要
ーーご自身の経験にもとづく発信だったのですね。川邊さんは「不機嫌な上司」になってしまった経験はありますか。
川邊:私の場合、管理職時代はむしろ周囲の機嫌を良くすることを意識していました。私は純然たるエンジニアではなく、事業やサービスを企画するプロデューサーでしたから、作りたいものを形にするためにはエンジニアに動いてもらわないといけません。
いわば他力本願の立場なので、エンジニアが機能を1つ作るたびに「これはすごいね」と褒めたり、お菓子を差し入れしたりと、相手の機嫌にはかなり気を遣っていました。
ただ、自分のポジションが副社長、社長と上がるにつれ、今度は自分自身の機嫌をとることが重要だと気付きました。
経営者は戦略や数字など抽象的なものを扱うのが仕事なので、現場時代のような具体的なサービスやプロダクトを作る面白さや楽しさを感じる機会は少なくなり、どうしてもストレスが溜まりやすい。
田中さんのおっしゃる通り、自分で意識しないとつい不機嫌になりがちです。それで私もキャリアの後半からは、アンガーマネジメントやメンタルコントロールなどを意識するようになりました。
ーー「不機嫌な上司」にもさまざまなタイプがいると思いますが、管理職やマネジャーの振る舞いで特に気になるものはありますか。
川邊:朝いちの機嫌が悪い上司は最悪ですね。1日の始まりに笑顔で「おはよう!」と声を掛けてくれる上司と、ろくに挨拶もせず明らかにイライラしている上司では、その日の部下たちのコンディションが大きく変わってしまいます。
これは大手企業に勤める私の友人の体験談ですが、ある日出社したら、顔を合わせた部下から「家庭で何かありました?」と聞かれたそうです。実際に彼はご夫人と何かあって(笑)、朝から機嫌が悪かったらしいんですよ。