鳥貴族が買収「謎の焼鳥チェーン」人情派な儲け方 赤と黒の看板の「やきとり大吉」は"経営の教科書"だ

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そんな大吉には、確固たる店舗フォーマットがある。まず、店舗は10坪程度にとどめること。10坪は、焼台から全席が見渡せるギリギリ限界の広さだ。次に、繁華街ではなく住宅街、それも1階路面店であること。このスタイルは、最初の30店舗をさまざまな場所に出した結果、決まったのだという。 

店内
約10坪の店内(写真:ダイキチシステム提供) 

というのも、繁華街に出した店は賃料が高すぎ、ネオンもギラギラしていて赤い看板が埋もれてしまったそうだ。

反対に、住宅街の店は目立って家族連れも来るようになり、自然に「家族連れでも行ける焼鳥店」というイメージができた。そうなると、繁華街の雰囲気はますますそぐわず、子供に危険も伴う。そこで、住宅街の地域密着店を目指すスタイルになったのだ。 

店主との契約形態については、基本、2つの方法がある。1つはリース方式。初期費用149万円で加盟し、本部から店を借りて運営をスタートする形だ。ランニングコストとしては、毎月家賃12万~16万円、店舗使用料12万~16万円、ロイヤリティ3万3000円、設備費用1万1000円を本部に支払う。またこの場合、大吉の空いている店舗を指定されるため、店の場所を選ぶことはできない。 

2つ目はオーナー方式だ。初期費用1800万円で店舗を購入し、ロイヤリティのみを払う形である。たいていのオーナーは1つ目のリース方式を選び、経験を積みながら店舗購入資金1800万円を貯金。溜まったらそのまま店を買い取るか、故郷で開店してオーナーになる。月々の店舗使用料がもったいないし、出店場所を選びたいからだ。 

現在、9割のオーナーがすでにオーナー方式に移行しており、リース方式の店は50店舗程度だという。 

焼き鳥
専用の焼台で、柔らかさとジューシーさを残しながらもしっかりと火を通す(写真:ダイキチシステム提供) 

ロイヤリティで儲けず「夢を叶えるサポート」を 

通常FCチェーンビジネスはロイヤリティで儲ける。立地戦略や看板で人を集め、店の売り上げが上がるほどに、ロイヤリティも上げるのが一般的だ。

ところが前述した大吉のロイヤリティは3万3000円。店舗の売上高のボリュームゾーンが月々150万~180万円であることを考えると、破格の安さだ。筆者が飲食チェーンを取材して聞く平均的なロイヤリティは、売り上げの3~10%の間である。 

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