鳥貴族が買収「謎の焼鳥チェーン」人情派な儲け方 赤と黒の看板の「やきとり大吉」は"経営の教科書"だ
ここまで、店主の裁量が大きい大吉のビジネスモデルを紹介してきた。けれど、わずか2つだけ、本部から指定している事柄がある。
1つ目は、取引酒販店だ。どうしてか。メディアでもしばしば取り上げられているが、大吉は、取引酒販店にスーパーバイザーの役割を依頼しているのだ。
なぜなら、大吉の社員は1000軒を運営しているときから10人のまま。全国にある店舗管理や運営の把握までは、とても手が回らないのだ。
酒販店は、毎日配送に行く際に、「禁止している生ものや魚を提供していないか」など、依頼項目をチェックして月に1回ダイキチシステムに提出する。「間違った方向にいかないように、親目線で子供を見守ってほしい」とお願いしているそうで、この考えを分かってくれる酒販店に取引先を限定しているのだ。酒販店にチェック費用の支払いは発生しないが、その地域の大吉の酒の仕入れはすべて任せる形で、お互いにウィンウィンな関係を保っている。
もう1つ指定しているのは、アルコール銘柄だ。清酒は全国に13カ所ある酒造のいずれかの銘柄を、それ以外の酒はサントリー製品に限っている。
サントリーホールディングスはエターナルホスピタリティグループに買収される前は大吉の親会社であり、酒販店同様、店舗訪問をしてくれていた間柄だった。売却後はいち取引先となったが、現在も協力体制は続き、何らかの気づきがあれば報告してくれるそうだ。
「経営とはなんぞや」を教えてくれる感のある、やきとり大吉の儲けの仕組み。自分の店を持ちたい人を、持続可能な形で応援する“人情派”な経営スタイルは、独特にして多くの学びを与えてくれる。
ところで、買収の実態は…?
それにしても、20年傘下に入っていたサントリーホールディングスからエターナルホスピタリティグループへの売却は、なぜ、どのように行われたのだろうか。
後編ー最盛期から半減「やきとり大吉」"反転攻勢"の秘策 課題は店主の高齢化、「白い大吉」で若返りを図るーではその経緯と、売却後の変化について解説する。
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