結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。
共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。
そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配事をクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。
著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、「『お前に全て渡す』遺言ひっくり返った衝撃顛末」について解説する。
何もしない兄と、父の介護に尽力した弟
会社員のTさんは40代。
妻は同年代で共働き、まだまだ手のかかる小学生と中学生の子どもがいます。
Tさんの母親はすでに亡くなっていたのですが、70代の父親が3年前に脳梗塞で倒れ、麻痺が残ってしまいました。
Tさん夫妻は毎週末、父親のところに出向き、何かと世話をしてきました。
Tさんも妻も平日に有給休暇などを使い、父親の病院の付き添いなどもしました。
遊びに連れていくこともできず、子どもたちには申し訳なく思っていましたが、父親のために誠心誠意尽くしてきたのです。
Tさんには兄のKさんがいるのですが、兄夫婦は「忙しいから」「子どもがまだ小さいから」といった理由で、まったく手助けをしてくれませんでした。
父親はTさん夫妻の献身に大いに感謝し「何かお礼がしたい」と言い出しました。
そしてなんと「自分の財産はすべてTさんに渡す」という遺言書を書いてくれたのです。
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