父急死、母子家庭から私大医に進んだ彼女の顛末 『ブラック・ジャック』に憧れた結果とその費用

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「そして、2年生のときにあしなが育英会が給付型奨学金を始めたということを知り、父を亡くしたわたしは384万円を給付してもらえることになりました。ただ、これは全額返金不要というわけではなく、毎月8万円のうち3万円は給付で、5万円を将来返していくというシステムでした。

また、幸いなことに国の給付型奨学金も始まり、わたしの家は非課税世帯だったため、194万円を給付してもらえました。これで1600万円は確保できたので、なんとかやっていけるだろうという気持ちになりました」

ただ、それは同時に将来、給付型奨学金を除いた1200万円以上(利子を含めた最終返済額は1296万円程度)の返済生活が待っているということにもなる……。また、相当な覚悟を持って大学に通う杉村さんと異なり、同級生たちはモチベーションが低かった。

「熱意がない学生は思ったより多かったですね。わたしのように本気で医者になりたいのは1割程度、6割は『家族が医者だから』、残りの3割は『成績がよかった』から医学部に通っていた印象です。それはそれで、大学側がモチベーションを上げるために大変そうでした」

そんな中、杉村さんはブラック・ジャックになるため必死で勉強した結果、学年2位という成績で大学を卒業した。そんな彼女のために、学費免除でもあれば肩の荷が降りるわけだが、通っていた大学にそのような制度はなかった。

「昔はあったらしいのですが、『騙し合い』が勃発したらしいのです。ある人たちが『この問題は試験に出ると教授が言っていたぞ』という嘘を流して、それにみんなが翻弄されてしまう事件が起きたとか。大学側は可能な限り、通っている学生たちみんなに医師免許を取得してほしいのに、そんなことされたらたまったものではないですよね。そのせいで、学費免除はなくなり、学年5位以内に入っても2万円の図書券と表彰盾がもらえるくらいでした(笑)」

「見習い医師」として病棟の患者たちに対応

そして、大学を卒業後、今は1年目の初期研修医として、神奈川県内のとある大学病院で勤務している杉村さん。今は「見習い医師」として病棟の患者たちの「マイナートラブル」に対応しているという。

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