「医学部専門の予備校は、どこもお金がかかります。1年で200万円だったり、場合によっては500万円ぐらいかかることもあります。さすがにそういった予備校に通うのは金銭的に厳しいため、都内で年間の授業料が100万円を切る塾を見つけました。破格の値段ですよね。
実際に見学に行ったところ、小さな予備校だったのですが、わたしと母に向かって『今の受験方法ではダメだ! もっと本質を掴んだ勉強をさせるべき!』と、力説してくれました。わたしも詰め込み勉強ではなく、医者になってからも生かせるような勉強方法を教えてくれるところがいいなと思い、そこに通うようになりました。まぁ、一番の決め手は授業料の安さですけどね(笑)」
父親の残してくれた多少の遺産もあり、勉強に打ち込めた杉村さん。学力もメキメキと向上していき、予備校の講師に「もう1年浪人したら国立も目指せるよ」と言われたほど。
しかし、彼女はもう1年勉強するよりも「早く医者になりたい」という思いから、私立大学の医学部に照準を合わせた。その結果、家から通える距離の私立大学の医学部に合格することができた。
「本当は国立に行きたかったのですが、家から遠い大学だとひとり暮らしになりますし、そうなると2年目の浪人費、6年間の学費と生活費でかかる費用、1年多く働いて稼げる生涯賃金など考えると大きく変わらないんですよね。それに卒業後も実家の近くで勤務することができるなど、将来のことを考えると、その大学がベストな選択でした」
6年間でかかった学費は3770万円
無事に医学部生になることができた杉村さんだが、問題はお金である。医学部は6年間通って3000万〜6000万円という多額の学費がかかるというのがデフォルトだ。
「わたしの大学も1年目で1070万円、2年目以降は540万円、最終的には3770万円はかかりました。そこで、祖母から1500万円を無課税で生前贈与してもらい、父親が残してくれた1000万円の遺産を使うことにしました。そして、残り1200万円をどうするか……。ここで、奨学金を借りることになります」
条件は揃っているため、杉村さんは第一種奨学金(無利子)を満額で借りることができた。総額203万円。そして、第二種奨学金(有利子)も満額864万円借りた。私立医学部生であれば特別増額分をさらに借りられるそうだが、増額分は返済時の利子が高く設定されているため断念した。
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