「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の怪しすぎる効果 人間の体はそんなに単純ではありません!

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どうしても“ダイエット”と言うとカロリー制限を思い浮かべますが食事量が同じでも痩せている人も太っている人もいるのが現状で、カロリーの収支バランスだけで「太ると痩せる」が決まる訳ではありません。

その主な原因は代謝の違いです。つまり何もしていなくても体温、心拍、血液循環、呼吸などの生きるために必要なエネルギーである基礎代謝や1日の活動に必要な生活活動代謝、及び食事後の消化吸収で使われるエネルギーである食事代謝(食事誘導性体熱産生:DIT)が季節や個人によって大きく異なるからです。

「基礎代謝」は季節によって結構違う

夏は気温が高いので体内でのエネルギー発散が少なくても体温が保持されるため、基礎代謝は春夏秋冬の中で最も低くなり、更に栄養不足や運動不足によっても低下してしまいます。

この基礎代謝は身体から発散される総エネルギーの70%を占めるので「太ると痩せる」にも大きく影響します。

また、食後には血液中に糖分が増えて、血糖値が上昇するとインシュリンと言うホルモンの働きで筋肉や肝臓に貯蓄エネルギー(グリコーゲン)として蓄えられますが、食べ過ぎや糖質過多で食後血糖値が急上昇すると筋肉や肝臓だけではグリコーゲンとして蓄え切れないので中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられてしまい、体脂肪が増えることになります。

このような食生活が習慣化すると肥満になりやすく、更に高血糖が続くとインシュリンの作用不足(インシュリン抵抗性)に陥り、糖尿病などの生活習慣病へと進行してしまうリスクが高まります。

もちろん間違った食生活の習慣化は夏場に限ったことではありませんが、多くは夏に代謝リズムが崩れやすくなるのです。

このように夏場は基礎代謝の低下と食べ過ぎ(特に甘いもの)が太りやすい原因を作ってしまうので基礎代謝を維持しながら甘いもの(糖質)を控えることだけでも太らない体質をつくります。

つまり、過剰な運動をしたり、食事を極端に減らすような無理なダイエットをするよりも朝・昼・夕の栄養価を考えた食事をしっかり食べて、大いに活動することで基礎代謝の低下を防ぎながら、おやつの糖分を減らして血糖値の上昇を防ぐことが夏場のダイエットには必要なのです。

夏は基礎代謝が低いので、脳内の温度センサーが働いて食欲を低下させながらエネルギーの吸収と発散を調整して体重を維持させる働きが備わっています。

そのように脳と身体は春夏秋冬で自動調整していますので、基礎代謝は異なっても通常は年間を通して概ね体重は維持されています。

夏場の無理なダイエットは更に代謝を低下させて、代謝が上昇し始める秋にその影響が及んでしまい、食欲が増える秋にも代謝が上昇せずに太りやすくなってしまいます。

秋は食欲の秋”と共に“スポーツの秋”でもあり、身体づくりにもダイエットにも絶好の季節になります。夏は体重維持に心掛けて、ダイエットは秋まで待ったほうが良さそうです。

永田 孝行
ながた たかゆき

1958年愛知県名古屋市生まれ。東京大学大学院医学系研究科で肥満と代謝を研究。 生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値 (グリセミック・インデックス) に着目して実験・研究を重ねた後、2001年に「低インシュリンダイエット」を提唱し、ブームを巻き起こす。また2003年には特異的な体脂肪分解のメカニズムを解明し、部分痩せを可能にする著書『10 days ポイントダイエット』を国内外で出版。これまで60冊近くを出版し、書籍販売総数は500万部を突破。

主な活動としては健康保険組合や企業を通して社員の健康・保健指導や生活習慣病予防と改善対策における食品の研究開発、健康コンサルタント、さらには講演活動や雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。

主な著書に『低インシュリンダイエット』(新星出版社)、『なんで太るの?』(角川書店)など。

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