「ブラックホール」で"時が止まる"は本当なのか? 何でも吸い込む「天体のラスボス」7つの不思議

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ですが、がっかりするのはまだ早いです。ブラックホールの存在が理論的に予言されたとき、「そんなものは実在するわけない」と信じられていませんでした。それがいまやブラックホールの存在は確かめられています。ホワイトホールやワームホールも、何年後かには、その存在が認められているかもしれません。

「どこでもドア」のように自由自在にワープできたら楽しいですよね。もしかしたら逆に、遠い宇宙から何かがこちらにワープしてくるかもしれませんね。

今後の観測に期待しましょう。

ブラックホールの先に別の宇宙がある!?  

【ブラックホールの「七不思議」⑦】ブラックホールのなかに「別の宇宙」がある!……かも!?

最後の不思議な話です。ブラックホールがつながっている先は、「この宇宙の遠く離れた別の場所」ではなく、「この宇宙とは別の宇宙」とする説もあります。

その考えによると、「私たちの宇宙自体もブラックホールのなかに存在している」かもしれません。

とあるブラックホールのなかに私たちの宇宙があり、この宇宙のあちこちにあるブラックホールのなかでも別の宇宙が広がっている……。さらにその別の宇宙にもブラックホールがあり……。

この宇宙は、ブラックホールの「マトリョーシカ」みたいになっているのでしょうか?

ブラックホールのイラスト
ブラックホールの中には、別の宇宙が広がっている!? (画像:『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』より)

「宇宙と宇宙の橋渡し」をしているかもしれないブラックホールは、宇宙の真の姿を知る手がかりになります。ブラックホールの奥にどんな世界が広がっているのか、ぜひ解明されてほしいですね。

ブラックホールの特徴は、その重力の強さから生まれます。重力が強すぎるあまりに空間と時間が強烈にゆがんで、不思議なことが起きていました。

そもそも、重力は「物から手を離したら落ちる」という身近な力です。身近だと思っていた重力がこんなにも不思議なことを引き起こすなんて、宇宙っておもしろいですよね。

好奇心を刺激してくれる世界をもっていることは、すごく豊かなことです。

ブラックホールはまだまだ奥が深く、わからないことだらけです。日々の暮らしで退屈したら、またブラックホールの世界に遊びに来てください。

最高にワクワクする「知的冒険の旅」は、果てしなく続きます。

(イラスト:村上テツヤ)

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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