「ブラックホールの境界を見ると、時が止まったように見える」のです。
ブラックホールに吸い込まれる人は、境界付近にピタッとはりついたように見えます。その人が穴に消えて行く結末を見届ける前に、見ている側の人が先に寿命を迎えてしまうでしょう。
つまり、「ブラックホールの境界を見ると、時が止まったように見える」のです。
成長過程が謎のLサイズブラックホール
いま知られているブラックホールは重さによって3つに分類されます。ここではわかりやすく、S・M・Lサイズと呼ぶことにしましょう。
Sサイズ 太陽の数倍〜数十倍の重さ(恒星質量ブラックホール)
Mサイズ 太陽の100倍〜数十万倍の重さ(中間質量ブラックホール)
Lサイズ 太陽の100万倍〜100億倍の重さ(超大質量ブラックホール)
Sサイズのブラックホールは、星の死後に現れるものです。ブラックホールは奇妙すぎる天体ですが、恒星の一生を考えると、ごく自然に生まれてきます。
一方、Lサイズのブラックホールは、銀河の中心にあるものです。じつは、ほとんどすべての銀河には、その中心に巨大なブラックホールが鎮座しているのです。その巨大さゆえに「モンスターブラックホール」と呼ぶ研究者もいるほどですが、その成り立ちはわかっていません。
ブラックホールが大きくなるには、「ガスや星を吸い込む」か「ブラックホール同士で合体する」かの2つの方法しかありません。つまり、エサを食べるか、共食いをするか。
しかし不思議なことに、このLサイズのブラックホールは、宇宙が始まってそう間もない時期(宇宙誕生から数億年後)に誕生しています。
「どうやって限られた時間で体を巨大化させたのか?」ということが未解決の問題なのです。
解決の糸口になると期待されているのは、Mサイズのブラックホールです。Mサイズは、SサイズからLサイズへの成長途中にあるものと考えられており、Mサイズのブラックホールを調べることで、Lサイズへの急成長の秘密がつかめるかもしれません。
何でも吸い込むブラックホールは、すさまじいエネルギーを生み出す能力があります。場合によっては、ブラックホールは、宇宙でいちばん明るく輝くこともあるぐらいです。
光さえも逃さないのに、明るく輝くなんて矛盾していると思いますよね。
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