チョーヤ、あまりに常識外れだった「3つの変革」 完熟梅での仕入れ、柔軟な出荷時間…あと1つは?

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実はこの青梅という言葉を使いだしたのは全国の市場だったそうだ。流通時の荷痛みを避けるために求められたのだ。

青梅
一般的に市場に流通している青梅(写真:チョーヤ梅酒提供)

しかし、チョーヤは異なる考えを持っていた。専務の金銅俊二氏は、「弊社は、青梅という表現を30年前に捨てました」と話す。すなわち、青梅をほぼ使わない選択をしたのだ。なぜなら、樹上で完熟した梅のほうが大粒で果肉が厚く、酸度が高い。これを使うことで、香り、酸味ともに優れた梅酒ができるからだ。

そのためチョーヤに納品される梅のほとんどが、青梅ではなく熟した梅だ。チョーヤが、独自の流通形態を作ったのだ。そんな特別扱いは農家に負担となるのでは……と思われるかもしれないが、実は真逆。農家にもメリットがある。

その理由は、梅の出荷作業を詳しく見ていくとよくわかる。

熟した南高梅
チョーヤが原料に主に使用している、熟した南高梅(写真:チョーヤ梅酒提供)

2.出荷方法を変えた

通常の梅の出荷は、梅を木から収穫し、傷物を選別。その後、大きさを4~5種類に分けて出荷するというものだ。このスタイルは手間がかかり、梅農家にとって大きな負担となる。

しかも、年間生産量の約50%を6月の1カ月間で出荷しなければならない。だから6月は家族総出で梅の出荷を手伝ううえ、アルバイトも雇う梅農家が多い。もちろん、その年によって豊作、不作があるとしても、肉体的にも、精神的にも負荷の大きな期間となる。

出荷作業の様子
6月に行われる出荷作業の様子(写真:チョーヤ梅酒提供)

ここで、さきほどの流通形態を変えたメリットが登場する。完熟した梅は青梅と出荷時期がずれるため、農家に余裕ができるのだ。しかも完熟梅での出荷なら、木からもぐのではなく、自然落下した実をネットで受ける「ネット収穫」となり手間も減る。

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