保険は互いに助け合う「相互扶助」のシステムです。いつ、どこで、誰に起こるかもしれない「万一」に備え、「ひとりは万人のため、万人はひとりのため」の考え方で、互いにおカネを出し合って助け合う。それが保険の仕組みです。
今回はこの「相互扶助」が、どのように人間の遺伝子のなかに組み込まれ、現代の保険経営にまで関わっているのか、を考えてみます。はたして保険によって本当の安心・安全は得られるのでしょうか。真の安心・安全を提供する保険会社のかたちとして、相互会社と株式会社のどちらがいいのか、といった問題を考えてみましょう。
助け合わなければ生き残れなかった時代
石器時代の人々は狩猟と採集で食料を得ながら、家族を中心とする数十人の共同体のなかで暮らしていました。彼らにとっては共同体に帰属していることが生き延びる唯一の術で、仲間から排除されることは即、死ぬことを意味しました。生き延びるために何より重要なのが仲間の一員として認められることであり、その仲間たちと互いに助け合うことが絶対的な生存条件でした。
このような環境が何百万年も続けば、私たちの遺伝子のなかに「相互扶助」のプログラムが培われ、組み込まれてくることは必然だったのでしょう。
進化論は、なぜこの地球上には「生き残る種」と「消え去る種」がいるのか、その謎を解き明かそうとします。子孫を残すことに成功した種が生き残り、そして次世代に引き継がれる。この繰り返しの中から、いかに多種多様な「種」が誕生してきたかを、さまざまなアプローチで説明しようとします。
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