部長はトップと現場をつなぐ変革キーパーソン--『経営チーム革命』を書いた長野恭彦氏(スコラ・コンサルトプロセス・デザイナー)に聞く
──強みは現場とともに歴史を知っているとわかりやすい、とも。
自社の強みにはいろいろな歴史が関係し、社歴が長いだけ部長はよく知っている。本来、自社の強みは自分たちで決めるものであって、他者に決めてもらうものではない。それにどれだけ思いが詰まっているかで根差し方も違う。加えて、これからどうなっていきたいかという将来像とも兼ね合うものだ。
たとえばキヤノンは特許にこだわる。その端的な例は、月に1日ある研究所の「特許の日」だ。その日に研究所を挙げて特許申請書をしたためる、あるいは他社の特許を調べる。それは昔、特許で痛い目に遭ったことがあるからだ。特別の日を設定して、心新たにする。
──チームの機能は製造業、非製造業で違いがありますか。
ここでも「強み」に絞っていえば、B2Bの場合は、多くがサプライチェーンの中でどこのポジションにいるかがわかりづらくなっている。イノベーションの相手は、部品受け入れメーカーか製品納入メーカーか。さらに生産機械だとしたら、理解してもらうターゲットは、それを直接扱う現場のオペレーターか、それとも意思決定する生産技術の責任者か、あるいは全体を見ている経営者か。新たな価値を創造する顧客はどこかを決めなければならない。
B2Cの場合、遊園地を例にすれば、大規模遊園地なら、絶叫マシンに投資して短期回収モデルでいくか、お姉さん、お兄さんのスタッフが相手するローコスト・イノベーションにするか。自らの将来像と兼ね合う。
長期停滞する日本経済の中で勝っていくには何をすべきか。「普段からの変革」が必要なことは確かだ。
ながの・やすひこ
京都市出身。大阪大学経済学部卒業、富士通を経て、1990年にスコラ・コンサルトへ。自動車、家電、機械、生産設備、住宅整備、化学、自動車整備、流通、飲食、レクリエーションなどの各事業において、商品開発・設計・生産プロセス、店舗売り上げ向上、ミドルマネジメントなどの変革テーマを支援。
(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年12月3日号)
『経営チーム革命』 日本経済新聞出版社 1890円 280ページ
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