部長はトップと現場をつなぐ変革キーパーソン--『経営チーム革命』を書いた長野恭彦氏(スコラ・コンサルトプロセス・デザイナー)に聞く
──経営トップの役割もあると。
その中に経営トップ層も名を連ねる。部長だけでは公式にはパワーが働きにくい。トップのいい意味での指示、権威の力が必要で、それがあって部長の潜在力が発揮できる。しかも、部門内を変えるだけでは済まなくなる場合もある。対象が広がれば、現場のトップ同士が協力するだけではスムーズにいかない。そのためにも経営トップを含めたチームとして機能させることが大事だ。
──狙いはイノベーション、つまり顧客価値の創造に絞る……。
市場に対して、どうやって新しい価値を創り出すか。その狙いをどのような体制で目指せばいいか。そこに部長の力を最大限発揮させる「戦略的経営チーム」という発想が出てくる。同時に、「部長が一人で頑張る」という、とかくありがちな機能不全から救う道にもなる。だから、このチームは現状の問題解決と未来価値の創造を両にらみ。むしろ、二兎を追うという欲張りな狙いが込められているといってもいい。
──部長同士は生臭い関係では。
確かに、互いの牽制や各種のしがらみはゼロにはならないが、トップの力もあって協力できるところは協力することになる。
たとえば部長が6人いて、3人が協力し合えればこのチームは機能しているといえる。この狙いに対してはポテンシャルばかりだったのが、3人が50~60%でも力を出せれば、それだけで成果は大きくなる。核となる部長と衛星的な部長とがいる2重円構造になるかもしれない。それでもチームは機能する。核の部長は、現場のキーとなる若手にどんどん課題を投げかけていくことだ。