部長はトップと現場をつなぐ変革キーパーソン--『経営チーム革命』を書いた長野恭彦氏(スコラ・コンサルトプロセス・デザイナー)に聞く
──「日本的部長」も奨励しています。
日本の会社はとかく論理だけでは動かない。顧客や上司、さらには部下がこういう気持ちでいるから、今はこうしたほうがいいといったように、互いの気持ちを肌で感じながら仕事をする。その気持ちの部分で人が動くことを、長年の経験からわかるのが部長の強み。それが「日本的部長」の意味に込められている。
──戦略的経営チームの実行機能は、「観る・感じる」「考え抜く」「定める」「実行する」の四つある、とあります。
たとえば、「観る・感じる」「考え抜く」。顧客は誰か、役立つ価値は何かをしゃくし定規に考えない。
こんな例がある。ある会社の機械が障害者に評判がいいといわれたという。それを“使いやすい”ととらえて、ある部長がこれは健常者もそう思っているはずと、チームの議論の中で見逃さなかった。これを自社の強みととらえ直し、自社製機械の新しい見方にして、新しい顧客への価値提供で生かすことを考えた。
これは、チームでの対話の中で考え抜かれた例。部長は自分で手掛けたものへの評価だったので、なおさら浸透させようとした。そこで、“使いやすい”に着目して機械を造ろうと現場に働きかけ、共感を得る。
このように、このチームによって強みを明確にした商品を出す、という経営の意思決定と、現場の実行が「一気通貫」で動いていける。部長という要のポジションにいる人たちが考えて動くから、それがしやすくなる。