【宇宙の95%を支配】計測不能「2つのダーク」とは 「正体」を明かせばノーベル賞確実!詳しく解説

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宇宙の長い歴史でいうと、少し前は「物質の時代」でした。正体不明の物質「ダークマター」とふつうの物質が宇宙を占領し、カオスな状態から星や銀河が生み出されていきました。

現代は「ダークエネルギーの時代」です。

宇宙が誕生して約100億年後(現在から約40億年前)、物質に代わって「ダークエネルギー」が主役に躍り出たのです。ダークエネルギーは、重力を凌駕しながら宇宙の膨張を加速させています。

ダークエネルギーの時代に終わりは見えず、この先ずっと続くと考えられています。

もしかしたら、ダークエネルギーに支配されたまま、宇宙自体が終わりを迎えるかもしれません……。

宇宙の創造に関わる「ダークマター」と、宇宙の破壊に関わる「ダークエネルギー」。これらの謎を解くことは、宇宙科学においてはもちろん、人類のルーツと未来を知る上でも、とても重要な課題なのです。

宇宙はわからないからこそ、おもしろい!

宇宙はまだまだ謎だらけ。それにしても、これだけ科学が進歩しているなかで、まさか宇宙についてわかっているものがたった5%しかないとは驚きですよね。

ですが、漠然と「ぜんぜんわからない」というわけではなく、「95%はわからない」ということがわかっています。「5%」「26%」「69%」と具体的に数値が出ていること自体が、じつはすごいことなのです。

何がどこまでわからないのかを正しく知ること。「わからなさの解像度」をあげていくことが、わかるための着実な一歩になります。

ただ、現実的には、ここから先、ほんの少し歩みを進めるだけでも多くの苦労が待ち受けています。研究者は日々頭を悩ませ、時には仲間と力を合わせ、時には何世代にもわたりながら、謎の解明を目指しています。

そこに宇宙がある限り、そこに謎が残る限り、人類の探求は続いていきます。

どんなに難しくても、諦めることなく科学の力で「謎に挑む」研究者って、すごいですよね。ただ、研究者が明かしたことを「好奇心を持って学ぶ」こともとても価値のあることです。

学ぶと世界が広がり、世界が広がるとものの見方が変わります。

宇宙は謎だらけだからこそ、好奇心を刺激し、私たちを新しい世界へと連れて行ってくれるのです。

わからないからこそおもしろい宇宙を、もっともっと楽しんでいきましょう。

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。

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